書評 「マインド・コントロールとは何か」著者 西田公昭 書名 マインド・コントロールとは何か 出版社 紀伊国屋書店 1993年4月、統一協会を脱会した元新体操選手の山崎浩子さんが、「私はマインド・コントロールされていました」と発言したことから、この言葉がはやり出した。 その後、オウム事件から貴乃花騒動まで、何でもマインド・コントロールという言葉で説明された。山崎さんの脱会の援助をした私が彼女にこの言葉を知らせたことを考えれば、この現象にいささか責任も感じている。 学術用語でもない、発展途上のこの言葉を説明した著書はたくさん世に出た。しかし、カルト的団体のメンバーに対する心理操作を知る上で、杜会心理学者の西田公昭氏のこの薯書が、最も厳密で当を得ていると思われる。 人はマインド・コントロールと聞くと、催眠術をかけられたように考える。しかし実際は、ごくありふれた杜会的影響力の集大成によってできている。薯者が指摘するように、「私は大丈夫」という例外感覚こそもっとも危険である。 (杉本誠 日本キリスト教団 朝日新聞2001年5月21日「心の書」掲載) |